日本経済新聞は8月22日付朝刊で、シェアハウス投資に絡む不正融資を巡りスルガ銀行の第三者委員会が実施した調査の概要が判明したと報じました。審査資料の改ざんなどの不適切行為に基づく融資が約1兆円規模に上る見込みです。
スルガ銀行が6月6日に修正後の貸倒引当金は782億円であり、不良債権が1兆円規模であれば到底対応不可能であり、経営破綻の可能性が指摘されています。今後の第三者委員会の報告が注目されます。
不正融資問題の発端は・・・「かぼちゃの馬車」シェアハウス事業
平成30年4月13日、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営するスマートデイズの破綻に伴い、金融庁はスルガ銀行への立ち入り検査を開始しました。
「かぼちゃの馬車」破綻までの経緯
- 金融庁がカードローン融資実態調査を開始
- スルガ銀行が融資基準を厳格化
- スマートデイズ社のキャッシュフローが逼迫
- スマートデイズ社がサブリース賃料の支払いを停止
- スマートデイズ社が民事再生法適用を申請
平成29年9月、金融庁は、過剰な貸し付けが社会問題となっている銀行の個人向けカードローンの融資実態を把握するため、立ち入り検査を開始しました。
立ち入り検査は、カードローンの貸出残高が多い銀行などを対象に、過剰な貸し付けを防ぐ融資審査体制があるかや、融資後も定期的に利用者の状況を把握しているかを調査。配慮に欠けた広告宣伝を行っていないかなども調べる。
(出典:経済界「銀行カードローンの融資実態把握のため立ち入り検査を決定――金融庁」)
平成29年10月にシェアハウス購入者の多くが利用するスルガ銀行がシェアハウスの融資に一定の条件を加える、融資引き締めを行いました。
融資条件が急に厳しくなったことにより、建築販売利益が大幅に減少し、契約通りのサブリース賃料を払えなくなったようで、スマートデイズ社からオーナーに減額の通知が行われました。
平成30年1月、スマートデイズ社はオーナーへのサブリース賃料の支払いを全面的に停止しました。
帝国データバンクによると、女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開するスマートデイズ社は4月9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、監督命令を受けました。3月末現在で債権者は911人、負債総額は60億3500万円。
シェアハウス事業以外にも波及
スルガ銀行のシェアハウスをめぐるずさんな融資問題で、個人の投資用アパート向け融資でも数多く不正が行われていたことがわかりました。「不適切融資」は大幅に拡大するとみられています。
スルガ銀行が力を入れていた、主として個人向けのアパートやシェアハウスに対する融資、あるいは無担保のカードローンは、多くの借り手が情報弱者であることもあって、一時的に銀行業界の収益に貢献したが、近い将来、今回問題になった案件のような不良債権を生むにちがいない。
(出典:DIAMOND online 「スルガ銀不正融資事件が「日本版サブプライム問題」に発展する懸念」)