ブラジル大統領選で右派のボルソナロ氏が当選確実

ブラジルで28日、現職テメル氏の任期満了に伴う大統領選の決選投票が実施され、即日開票の結果、極右・社会自由党のジャイル・ボルソナロ下院議員(63)が、左派・労働党のフェルナンド・アダジ元サンパウロ市長(55)を破り、初当選した。選挙管理当局によると、開票率99・99%での得票率はボルソナロ氏が55・13%、アダジ氏が44・87%。

ジャイル・ボルソナロ氏(提供:REUTERS)

「ブラジルのトランプ」と呼ばれる

ジャイル・ボルソナロ氏は、ポピュリスト的な姿勢と過激な発言で「ブラジルのトランプ」と呼ばれている。
「ブラジル最優先」を掲げて既成政治への不満を取り込み、市場開放や財政再建への期待を集めているが、強権的な政治姿勢に懸念も出ている。

ジャイル・ボルソナロ氏の経歴

ボルソナロ氏はイタリアとドイツに先祖をもつヨーロッパ系移民。
陸軍士官学校を卒業後、1977年にアグーリャス・ネーグラス軍事学校に入学、その後リオ・デ・ジャネイロ州のパラシュート歩兵旅団に参加。
1983年に軍体育学校で体育の訓練を受け、教師となり、歩兵旅団を退団。
1986年9月3日、雑誌に軍人の低賃金を批判する記事を書き、15日間逮捕され、その後退役。
1989年、キリスト教社会民主党のリオ・デ・ジャネイロ市議員として政治家に。
1990年、キリスト教社会民主党で連邦議員に。
その後、改革進歩党-PPR(1993-95)、ブラジル進歩党―PPB(1995-2003)、ブラジル労働党―PTB(2003-2005)、民主党―PFL(2005)、進歩党―PP(2005-2016)、キリスト教社会党―PSC(2006-2017)に加入した。
キリスト教社会党-PSC党指導部と対立し、大統領選挙のため2017年に国民エコロジーの党-PENへ入党するための準備を開始したが、現在は社会自由党-PSLに所属している。

政治姿勢

ボルソナロ氏は、汚職撲滅とブラジルの高い犯罪率の低減を公約に掲げていた。
経済政策は市場重視を強調した経済改革路線で、中道右派のテメル現政権の路線を基本的に継承する姿勢を示している。
財政再建策として、年金制度の改革や国営企業の民営化などを推進する。

人権に不安も、民衆は政治浄化を期待

「女性は生産性が低い」「同性愛者は受け入れられない」など、差別発言も多く、人権を軽視した姿勢に批判も多い。
しかし、ブラジルの汚職政治家を「浄化」すると公約し、これまでも大物政治家が次々と投獄されるなど汚職の横行するブラジルの政治浄化には民衆の期待も大きい。

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